平成23年7月号


 いつも大変お世話になっております。

梅雨らしいぐずついた日が続いていますが、節電による熱中症など体調不良に
お気を付け下さい。
国会では23年度の税制改正法案が、大幅な修正を経てやっと成立しました。
法人税減税や相続税増税等大きな改正案は全て廃案となって、良くも悪くも元通
り。この半年間の議論は何だったのでしょうか。

それでは、今月の事務所だよりをお届けします。



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◆平成23年7月の税務
◆賃料の改定をめぐるプロセス
◆つなぎ法によるつながり

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◆平成23年7月の税務
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7月11日
●6月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付

7月15日
●所得税の予定納税額の減額申請

8月1日
●5月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●所得税の予定納税額の納付(第1期分)
●2月、5月、8月、11月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●11月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の2月、8月、11月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の4月、5月決算法人を除く法人・個人事業者の
1月ごとの中間申告(3月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>

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○固定資産税(都市計画税)の第2期分の納付
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参考URL:
平成23年7月の税務
http://www.essam.co.jp/zeimu/zeicale11.html#jul


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◆賃料の改定をめぐるプロセス
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◆賃料改定の条項があるが・・・
 借地・借家の契約書で、貸主(地主、家主)は賃料が社会情勢、貨幣価値、
近隣相場等に照らして不相当となったときに改定できるとの条項を見たことがあるはずです。
 しかし、実際の賃料改定では、次に申し上げるように複雑なプロセスをたどります。
◆賃料改定の仕方について法律の定めがある
 借地借家法は、固定資産税等の負担の増減、物件の価格の騰落等経済事情の
変動、又は、近傍同種の賃料と比べて不相当となったときは、貸主だけでなく借主からも、
将来に向かって賃料額の増減を請求できると規定します(但し、契約
書に増額しない旨の特約があれば、増額請求はできません)。
 しかし、一方的に賃料の改定請求があれば直ちにその金額で確定するわけで
はありません。賃料を確定させるためには、まずは双方の協議が必要となります
。それで協議が纏まればそれでよく、そうでなければ裁判所での調停が必要とな
ります。調停とは、要は裁判所から選任される調停委員の仲立ちの下で双方が協
議して解決する手続です。そして、調停でも纏まらなければ、裁判所における訴
訟で解決されます。

◆裁判所による適正賃料の判断
 訴訟においていよいよ判決となれば、裁判所は自ら適正な賃料額を判断しま
す。適正賃料の定め方には、差額配分方式、スライド方式、収益配分方式、賃貸
事例比準方式等の方法がありますが、裁判所はこれらを勘案しつつ、事案に応じ
て裁量的に判断します。その過程で不動産鑑定士による鑑定が必要となってきます。

◆改定賃料が確定しない間の対処
 もちろん、賃料の金額が確定しない間、借主は支払う必要がないということ
はなく、次の方法により対処します。@貸主が増額請求をした場合は、借主は自
ら賃料として相当と認める金額(従前の賃料額)を法務局に供託します。A借主
が減額請求をしてきた場合は、貸主は裁判確定までは自ら相当と認める金額(従
前の賃料額)の支払を請求することができ、借主はその金額を支払う必要があり
ます。その代わり、判決で従前の賃料額より低額で確定すれば、貸主はその超過
額を年1割の利息を付けて返す必要があります。
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参考URL:

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◆つなぎ法によるつながり
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◆日切れ法案で税制改正阻止
 予算案は国会通過したものの、予算関連法案が衆議院で立ち往生したままで
、成立の見通しが立たない状況になっています。
 税法本法は無期限規定として立法されますが、租税特別措置法は臨時の特例
措置として立法されますので、原則として適用期限を区切って立法されます。
 今回は、自民党・公明党の野党議員から、租税特別措置法の3月末日で日切れ
るほとんどの規定を3ヶ月間延長する「つなぎ法案」が提起され、賛成多数で国
会通過していますので、現状維持がつづいています。政府の税制改正が阻止されているわけです。

◆3月31日が日限ではなかったので
 日切れとなるほとんどの規定がつなぎ法案の対象となってはいるのですが、
平成22年12月31日にすでに日切れとなっていたローン無しでの既存住宅改修(バ
リヤフリー改修と省エネ断熱工事)に係る10%税額控除の規定についてはつなが
れていません。
 3月31日の日限ではなかったので、拾い漏れしたのでしょうか。つなぎ無しで
今年が経過してしまった場合には、次の確定申告においてこの税額控除規定は使えないことになります。

◆つながれなかったその他の規定
 3月31日の日限であるのにつなぎ法案の対象に取り込まれなかった所得税に係
る規定としては、採石・採炭災害防止準備金、農業経営基盤強化準備金がありま
す。政府としては、前者は廃止の予定、後者は2年延長の予定にしていました。
 法人税に係る規定でつなぎ法案の対象に取り込まれなかったものとしては、
試験研究費の税額控除の特例規定の中の一部分があります。

◆税法本法については
 所得税法や法人税法などの税法本法については日切れになるものはありませ
んので、つなぎ法案の対象になっているものはありません。改正法案が通らないと、
単純に旧規定が存続し続けるだけなので、つなぐ必要がないわけです。
 ただし、もし税制改正案が今後国会通過し成案となった場合、旧規定の存続
については、改正法の施行日前日までのものと、改正新規定が1月1日や4月1日に
遡及適用され、結果として旧規定の存続はないことになるものとがあります。
 租税法規不利益不遡及の原則があるので、納税者不利規定は遡及しないで施
行日以後から適用、納税者有利規定は遡及して、法律の規定日から適用、となるからです。