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事務所だより 平成30年8月号

 黒田総裁の下、日銀が「2%物価目標」を掲げて「異次元緩和」を始めたのは今 から5年前。
低金利による銀行の収益悪化や年金の運用難、日銀の大量の国債購 入による資本市場の機能マヒや財政規律の弛緩といった副作用が目立ってきて「 異次元緩和をこれ以上続けても、物価が2%には届かないのがはっきりしてきた 。」と市場では、2%物価上昇目標は削除され、日銀が長期金利の上昇を容認す る政策修正が近いとの予想も出始めました。



=-=-= 目次 -=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-

◆平成30年8月の税務
◆給与所得控除等の改正
◆中小企業の電子申告義務化?

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◆平成30年8月の税務
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8/10
●7月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付

8/31
●6月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事 業所税)・法人住民税>
●3月、6月、9月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの期間短縮に係る確定申 告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税 >
●12月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住 民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の3月、9月、12月決算法人・個人事業者の3月ごと の中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の5月、6月決算法人を除く法人・個人事業者の1 月ごとの中間申告(4月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>
●個人事業者の当年分の消費税・地方消費税の中間申告

○個人事業税の納付(第1期分)
○個人の道府県民税及び市町村民税の納付(第2期分)

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◆給与所得控除等の改正
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◆近年少なくなり続けている控除
給与所得控除とは、支払われた給与等の収入金額から、勤務に伴う必要経費を 概算して一定計算額で控除が受けられるものです。
簡単にいうと「サラリーマン の経費を想定して収入金額から引いてくれる」制度です。近年は改正が相次ぎ、 次第に給与所得控除額の上限が下がってきています。
平成24年分以前の給与所得控除は、収入1,000万円超の場合で収入金額×5%+ 170万円(つまり上限はありませんでした)、平成25年から平成27年分は1,500万 円超の場合で控除額の上限が245万円、平成28年は1,200万円超の場合で控除額の 上限が230万円、平成29年以降は1,000万円超の場合で控除額の上限が220万円と なっていました。

◆平成30年税制改正でさらに低下
平成30年税制改正で、平成32年分所得税から給与所得控除額の上限は年収850 万円超の場合で195万円となります。
ただし、今回の改正については、22歳以下の扶養親族のいる「子育て世帯」や 特別障害者がいる「介護世帯」については、「所得金額調整控除」が組み込まれ 、基礎控除の引上げと併せて、現行制度との比較で、負担増減は無いように、配 慮がなされています。

◆公的年金等控除も改正
公的年金等控除も改正が行われ、平成32年分所得税から、控除額を一律10万円 引き下げ、公的年金等収入1,000万円を超える場合の控除額に195万5,000円の上 限を設定、年金以外の高額所得がある場合の控除額の引下げが行われます。
なお、給与と年金の両方がある人の場合は、合計20万円の控除縮減にならない ように、給与所得で調整されます。

◆場合分けで複雑になった?
給与収入関連の税制周辺には「但し書き」が乱発されているように思えます。
サラリーマンが自分の税額を簡単に計算できる時代ではなくなったようです。

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◆中小企業の電子申告義務化?
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◆いよいよオンライン化法からの脱皮
現行租税法体系には電子申告の規定がなく、税の申告手続きに於ける電子申告 の根拠法令は、行政手続法の特別法としての行政手続オンライン化法であり、実 態としては、それからの委任による、国税オンライン化省令、さらには国税庁長 官告示になっています。租税法体系の条文が事実上修正・変更されています。
本年改正法人税法に突然出てきた大企業の電子申告義務化は、電子申告規定を 租税法体系の中に組み込み直す第一手と思われます。
大企業限定と、扱いが措置 法的でありながら、法人税法本法の規定となっていることからして、いずれ大企 業限定を外すこと、そして、法人のみならず個人課税の分野にも拡大することが 予定されているからとしか思われません。

◆もともと問題あり、疑問ありだった
もともと、わずか全12条の行政手続オンライン化法による、制限不明な省令へ の委任での現行電子申告制度が租税法律主義の法体系と矛盾していないか、法治 国家の法体系のあり方として不適切ではないか、ということについて、当初から 、そして国税内部からも疑問が呈されていました。
電子申告開始後、概ね10年が経過するところで、この問題の解決に本格的に取 り組み始めたのだと、推測されます。

◆サプライズは大企業止まり
しかし、書面で申告書を提出しても無申告扱いとなる、というサプライズな電 子申告義務化規定が、中小企業を含む全法人に、さらには個人の申告に、適用さ れるとなると、これが租税法律主義の手続的保障原則および行政手続上の国民主 権原理に反していないか、との厳格な吟味を求められることになるのは避けられ ません。
今のままでは、訴訟が開始されることになり、法律の規定が憲法違反と判決さ れるのは不可避だからです。

◆あるべき誘導措置の在り方
電子申告は、行政内部の省力化の為の絶大な切り札であることは確かなので、 国民にその方向での協力を求め、その協力には、税制特例の適用の恩恵を与える 、という誘導優遇措置は認められるところです。
青色申告者に与えられていた従来制度上の特典のあり方が参考になります。ペ ナルティを課すというのは行き過ぎです。




税理士法人 T&Mソリューション