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事務所だより 平成28年12月号
政府税制調査会の議論が大詰めを迎えていいます。
先月は配偶者控除がなくなる のではとお伝えしましたが、一転、配偶者控除は103万円から150万円へと引き上 げという話です。
また、今までビール、発泡酒と第3のビールに分かれていたビ ール税の一本化などが注目されていますが、アメリカではトランプ氏が次期大統 領に決まると大規模減税が行われそうですので日本もいずれ踏襲されるでしょう 。益々所得格差が拡大されそうです。
=-=-= 目次 -=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-
◆平成28年12月の税務
◆会社債務の連帯保証や担保提供 社長に支払う債務保証料
◆2つのはしご
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◆平成28年12月の税務
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12/12
●11月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額・納期の特例を受けている者の住民 税の特別徴収額(当年6月〜11月分)の納付
1/4
●10月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人 事業所税)・法人住民税>
●1月、4月、7月、10月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・ 地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税 >
●4月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住 民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の1月、4月、7月決算法人の3月ごとの中間申告< 消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の9月、10月決算法人を除く法人・個人事業者の 1月ごとの中間申告(8月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>
○給与所得の年末調整
○給与所得者の保険料控除申告書・住宅取得控除申告書の提出
○固定資産税(都市計画税)の第3期分の納付
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◆会社債務の連帯保証や担保提供 社長に支払う債務保証料
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◆会社が社長に支払う債務保証料
会社が金融機関から融資を受ける場合に、社長を保証人とするよう求められる ことがよくあります。
このような場合、社長が会社の保証人となったのだから、会社は社長に対して 保証料として相当の金額を支払ってもよいのではと考えるのは自然な発想です。
問題となるのは、その保証料の「金額」。
過去の税務訴訟では、この保証料と しての「相当の金額」が争われたものがあります。
◆信用保証協会の年利率までは「相当」
この裁判の原告は消費者金融業を営む同族会社でした。
この会社は、銀行借入 の際に、代表取締役社長が連帯保証や担保提供を行っていたことから、社長に対 して、その借入金の月初残高に月利率約0.167%(年利2%相当。民間の保証会社 の保証水準)を乗じた金額を「支払利息」として支払い、損金の額に算入してい ました。
これに対して税務署側は、信用保証協会の最高保証率である年利率1%(当時 )を超える部分を「役員報酬」と認定し、この部分が支給限度額を超過すること から、損金算入を認めませんでした。
会社側はこれを不服とし、裁判となりまし た。
◆役員による会社債務の保証の性質
裁判所は、原告の主張する民間保証会社の保証料率を参考にすることは相当で なく、税務署が主張する信用保証協会の保証料算出基準を参考とした率による処 分を認めました。
そもそも、会社の役員が会社の債務保証を行うのは、役員の信 用力の提供自体を期待するものでなく「経営責任」上の問題であって、営利目的 ではないのだから、営利目的である民間保証会社の保証とは著しい相異がある― というのが理由でした。
◆保証料を支払う場合の注意事項
この判例を見ると、信用保証協会の年利率までの保証料の支払いは認められそ うですが、その「保証の必要性」、「融資の内容」、「保証範囲」等を勘案し、 支払うことが適正と認められるような状況であるという「前提条件」が必要と思 われます。
そのため、融資に当たり、会社に定期預金、不動産等の提供できる担保物があ る場合や、既に他に十分な担保があり、役員個人の保証は単に形式的なもので危 険負担をしている事情がないときは、保証料を支払っても単純損金とされず、役 員給与とされるでしょう。
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◆2つのはしご
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専門職の活躍が事業推進のカギを握っている企業では、よく“2つのはしご( 複線人事)”を活用しています。
“2つのはしご”は、等級制度に管理職系統と専門職系統の2つを準備し、賃 金制度・人材育成制度などの人事賃金制度と関連付けて運用する“複線型人事制 度”で、それに対置するのは昇進ルートを管理職系統のみとする“単線型人事制 度”です。
◆“2つのはしご”が生まれた背景
パラレルに設定される“2つのはしご”採用の背景には、次のように企業側・ 社員側それぞれのニーズがあります。
@企業が、市場・顧客・技術・法律など外部環境の変化に対応していくため、新 商品・サービスの開発などに専門職の育成・活用が不可欠となってきたこと A管理職系統だけの昇進制度だけでは、多様化した社員のロイヤリティーを維持 することが困難になってきたこと
◆“2つのはしご”の姿
通常、次の“2つのはしご”が用意され、それぞれ等級制度を基軸として、賃 金制度・人材育成制度・評価制度・目標管理制度などと連動して運用されます。
@会社全体や部門の運営を司るポジションである管理職へのキャリアパス・管理 職等級制度
A上記@とパラレルな位置付けで、担当分野における深い知識・技術・経験をも ち、かつ担当事業領域で、相応の影響力を行使して貢献できるプロフェッショナ ルへのキャリアパス・専門職等級制度
B上記@Aの等級は、「人の格付け」ではなく、「仕事の格付け」であり、職務 内容の変更や、経営上の重要度が変われば、等級の変更が行なわれる「役割・職 務等級制度」である
◆経営者・管理者の留意点
“2つのはしご”を効果的に活用し、社員の活躍に結び付けるために次の点に 留意しましょう。
@“2つのキャリアパス”にある個々の社員にとって、ストレッチな(努力して ようやく手が届く)水準の目標設定へ誘導すること。
A「成果と貢献したプロセス行動の事実」に注目して、会社・部門目標への貢献 度を基準として評価すること。
先月は配偶者控除がなくなる のではとお伝えしましたが、一転、配偶者控除は103万円から150万円へと引き上 げという話です。
また、今までビール、発泡酒と第3のビールに分かれていたビ ール税の一本化などが注目されていますが、アメリカではトランプ氏が次期大統 領に決まると大規模減税が行われそうですので日本もいずれ踏襲されるでしょう 。益々所得格差が拡大されそうです。
=-=-= 目次 -=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-
◆平成28年12月の税務
◆会社債務の連帯保証や担保提供 社長に支払う債務保証料
◆2つのはしご
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◆平成28年12月の税務
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12/12
●11月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額・納期の特例を受けている者の住民 税の特別徴収額(当年6月〜11月分)の納付
1/4
●10月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人 事業所税)・法人住民税>
●1月、4月、7月、10月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・ 地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税 >
●4月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住 民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の1月、4月、7月決算法人の3月ごとの中間申告< 消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の9月、10月決算法人を除く法人・個人事業者の 1月ごとの中間申告(8月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>
○給与所得の年末調整
○給与所得者の保険料控除申告書・住宅取得控除申告書の提出
○固定資産税(都市計画税)の第3期分の納付
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◆会社債務の連帯保証や担保提供 社長に支払う債務保証料
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◆会社が社長に支払う債務保証料
会社が金融機関から融資を受ける場合に、社長を保証人とするよう求められる ことがよくあります。
このような場合、社長が会社の保証人となったのだから、会社は社長に対して 保証料として相当の金額を支払ってもよいのではと考えるのは自然な発想です。
問題となるのは、その保証料の「金額」。
過去の税務訴訟では、この保証料と しての「相当の金額」が争われたものがあります。
◆信用保証協会の年利率までは「相当」
この裁判の原告は消費者金融業を営む同族会社でした。
この会社は、銀行借入 の際に、代表取締役社長が連帯保証や担保提供を行っていたことから、社長に対 して、その借入金の月初残高に月利率約0.167%(年利2%相当。民間の保証会社 の保証水準)を乗じた金額を「支払利息」として支払い、損金の額に算入してい ました。
これに対して税務署側は、信用保証協会の最高保証率である年利率1%(当時 )を超える部分を「役員報酬」と認定し、この部分が支給限度額を超過すること から、損金算入を認めませんでした。
会社側はこれを不服とし、裁判となりまし た。
◆役員による会社債務の保証の性質
裁判所は、原告の主張する民間保証会社の保証料率を参考にすることは相当で なく、税務署が主張する信用保証協会の保証料算出基準を参考とした率による処 分を認めました。
そもそも、会社の役員が会社の債務保証を行うのは、役員の信 用力の提供自体を期待するものでなく「経営責任」上の問題であって、営利目的 ではないのだから、営利目的である民間保証会社の保証とは著しい相異がある― というのが理由でした。
◆保証料を支払う場合の注意事項
この判例を見ると、信用保証協会の年利率までの保証料の支払いは認められそ うですが、その「保証の必要性」、「融資の内容」、「保証範囲」等を勘案し、 支払うことが適正と認められるような状況であるという「前提条件」が必要と思 われます。
そのため、融資に当たり、会社に定期預金、不動産等の提供できる担保物があ る場合や、既に他に十分な担保があり、役員個人の保証は単に形式的なもので危 険負担をしている事情がないときは、保証料を支払っても単純損金とされず、役 員給与とされるでしょう。
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◆2つのはしご
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専門職の活躍が事業推進のカギを握っている企業では、よく“2つのはしご( 複線人事)”を活用しています。
“2つのはしご”は、等級制度に管理職系統と専門職系統の2つを準備し、賃 金制度・人材育成制度などの人事賃金制度と関連付けて運用する“複線型人事制 度”で、それに対置するのは昇進ルートを管理職系統のみとする“単線型人事制 度”です。
◆“2つのはしご”が生まれた背景
パラレルに設定される“2つのはしご”採用の背景には、次のように企業側・ 社員側それぞれのニーズがあります。
@企業が、市場・顧客・技術・法律など外部環境の変化に対応していくため、新 商品・サービスの開発などに専門職の育成・活用が不可欠となってきたこと A管理職系統だけの昇進制度だけでは、多様化した社員のロイヤリティーを維持 することが困難になってきたこと
◆“2つのはしご”の姿
通常、次の“2つのはしご”が用意され、それぞれ等級制度を基軸として、賃 金制度・人材育成制度・評価制度・目標管理制度などと連動して運用されます。
@会社全体や部門の運営を司るポジションである管理職へのキャリアパス・管理 職等級制度
A上記@とパラレルな位置付けで、担当分野における深い知識・技術・経験をも ち、かつ担当事業領域で、相応の影響力を行使して貢献できるプロフェッショナ ルへのキャリアパス・専門職等級制度
B上記@Aの等級は、「人の格付け」ではなく、「仕事の格付け」であり、職務 内容の変更や、経営上の重要度が変われば、等級の変更が行なわれる「役割・職 務等級制度」である
◆経営者・管理者の留意点
“2つのはしご”を効果的に活用し、社員の活躍に結び付けるために次の点に 留意しましょう。
@“2つのキャリアパス”にある個々の社員にとって、ストレッチな(努力して ようやく手が届く)水準の目標設定へ誘導すること。
A「成果と貢献したプロセス行動の事実」に注目して、会社・部門目標への貢献 度を基準として評価すること。
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