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事務所だより 令和5年8月号

中古車販売会社ビッグモーターの創業者である兼重氏の会見は「開いた口がふさがらない」とはこのことです。
利用者の感想であればまだしも、経営トップのする発言ではありません。過大請求の規模から考えてほとんどの国民は組織的な関与を疑っていると思います。
新社長が涙を見せていましたが、泣きたいのは利用者です。会社全体にモラルハザードが起きており、この会社に車の売買や修理依頼をしようと思う消費者はいないでしょう。

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◆2023年8月の税務
◆インボイス不登録免税業者との取引での損失額
◆「労働契約法」と「労働契約」

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◆2023年8月の税務
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8月10日
●7月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付

8月31日
●6月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人 事業所税)・法人住民税> 
●3月、6月、9月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの期間短縮に係る確定申 告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税 >
●12月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住 民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の3月、9月、12月決算法人・個人事業者の3月ごと の中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の5月、6月決算法人を除く法人・個人事業者の1 月ごとの中間申告(4月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>
●個人事業者の消費税・地方消費税の中間申告

○個人事業税の納付(第1期分)(8月中において都道府県の条例で定める日)
○個人の道府県民税及び市町村民税の納付(第2期分)(8月中において市町村の 条例で定める日)

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◆インボイス不登録免税業者との取引での損失額
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◆インボイスが始まるけれど
 2023年10月から、インボイス制度(適格請求書保存方式)がスタートします。
インボイス番号の確認や取得状況についての問い合わせが来ている、との話をよ く耳にするようになりました。
 平成28年度 与党税制改正大綱 (参考資料A-2)では、国内823万の事業者の うち、513万者余(63%)が免税事業者で、うち435万が個人の免税事業者、77万 が法人の免税事業者とされていました。すなわち、インボイス制度導入により、 日本国内の63%もの事業者が影響を受けるのです。
 ただし、免税事業者と言えど、消費税を請求する権利が消費税法上ありますし 、また、仕入消費税分を転嫁しないで自己負担とする義務などありません。
イン ボイス制度が消費税請求の権利、転嫁の権利を踏みにじるのだとすると、それは 由々しきことです。

◆8割特例を用意して損の緩和と受容奨励
 免税事業者のままでは、インボイスを発行できないので、免税事業者と取引す る課税事業者は、消費税の仕入税額控除が適用されなくなり、損をすることにな る、と言われています。
 その損を緩和せんとするのが、8割特例です。
インボイスのない免税事業者と の取引額の消費税10%消費税について、8割にする、というものです。
 消費税込みで110万円の取引とすると、仕入税額控除は10万円の8割80,000円 となり、控除除外された20,000円は経費として損金算入され、法人税等の負担税 率が30%だったとすると、6,000円の法人税額等の減少効果を生み、合わせて86, 000円の税負担軽減となるので、免税事業者との取引で損をする額は、10万円−8 6,000=14,000円です。
消費税率10%の中の14%部分です。税抜取引額の1.4%で す。

◆2割特例では免税事業者が損を被る
 免税事業者がインボイス発行事業者となった場合には、2割特例が用意されて いて、負担する消費税額は、消費税額10万円の場合、その2割の2万円です。法 人税負担まで考慮すると上記と同じく1.4%です。
 免税事業者が2割特例を適用すると、その取引相手は仕入税額控除100%可能 です。
 どちらかに1.4%の税負担を負わせようとするインボイス制度ですが、そんな に大きな金額の負担ではないので、当面は、いずれの選択になろうと、取引への 変化などはなさそうに思われます。

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◆「労働契約法」と「労働契約」
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◆労働契約法
 労働契約法が2008年3月1日に施行され15年が経過しました。
労働契約法は労働 者と使用者(以下「会社」とします)が自主的な交渉をして、労働契約が合意に より成立する合意の原則、その他労働契約に関する基本的事項を定めることによ り、労働者の保護を図り、併せて労働者と会社との間における労働関係を安定さ せること等を主な目的としています。

◆民法との関係
 労働契約法は、民法第3編(債権)第2章(契約)第8節(雇用)についての特 別法になります。
つまり、労働契約法と民法で異なる規定がある場合には、特別 法である労働契約法の規定が優先されることになります。
例えば民法627条1項で は、期間の定めのない雇用契約について、労働者に2週間前の予告期間をおいて の解雇の自由を認めていますが、労働契約法16条では、会社が労働者を解雇する 場合、解雇の理由が客観的に合理的な理由を欠き、また、その理由での解雇の処 分が、社会通念上相当であると認められない(処分が重すぎる)場合には、その 解雇は無効とするとしています。
従って、民法で認められる予告期間をおいての 解雇も、労働契約法が優先することにより、無効となる場合があります。

◆労働契約とは
 労働契約そのものの定義はありませんが、労働契約法6条から、労働者と会社 それぞれに次の権利を有し、また義務が課せられると考えられます。
・労働者の権利及び義務:賃金を受け取る権利と労働を提供する(働く)義務
・会社の権利及び義務:労働の提供を受け取る(働いてもらう)権利と賃金を支 払う義務
 なお、ここでの労働者の義務(労働提供義務)についての考え方は重要です。
義務の履行(債務の弁済)は民法で、「債務の弁済は債務の本旨に従ってなされ なければならない」とされています。
つまり、労働者は、会社との合意により成 立した労働契約の内容(就業場所、労働時間、賃金など)で働かなければならな いことになります。
 さらにわかりやすく表現すれば、労働者は労働契約で決められた内容の範囲で の会社の命令に従い働かなければならないとなります。



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