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事務所だより 令和5年7月号

会社の経営者の中には、現金商売の喫茶店や飲食店経営に魅力を感じている人が 多くいますが、飲食店の1年以内の閉店割合は4割を超え、3年以内の閉店割合は7 割を超えています。
どんなに良いサービス、良い商品を提供していても、人任せ ではお店をつぶしてしまう結果となります。
経営の神様、稲盛氏は口を酸っぱく して「月次の売り上げ」と「経費」を細かくチェックせよと説きます。本業以上 に経営に関わらなければなりません。

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◆2023年7月の税務
◆給与水準を引き上げた中小企業は半数超え
◆電子帳簿保存法の電子取引データ保存の猶予改正

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◆2023年7月の税務
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7月10日
●6月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付(年2回納付の特例適用者は1 月から6月までの徴収分を7月10日までに納付)

7月18日
●所得税の予定納税額の減額申請

7月31日
●所得税の予定納税額の納付(第1期分)
●5月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人 事業所税)・法人住民税>
●2月、5月、8月、11月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・ 地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税 >
●11月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住 民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の2月、8月、11月決算法人の3月ごとの中間申告< 消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の4月、5月決算法人を除く法人・個人事業者の1 月ごとの中間申告(3月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>

○固定資産税(都市計画税)の第2期分の納付(7月中において市町村の条例で定 める日)

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◆給与水準を引き上げた中小企業は半数超え
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◆給与引き上げ企業3年ぶりに半数を上回る
 日本政策金融公庫は「中小企業の雇用・賃金に関する調査」結果を発表しまし た。13,266社対象に回答は5,473社となっています。
 2022年12月の正社員の給与水準を見ると「上昇」と答えた企業割合は53.1%、 前年41.1%から12.0ポイント上昇しました。
 業種別では、情報通信業(63.8%)、水運業(58.5%)、建設業(55.1%)等 が上昇の割合が高くなっています。23年の見通しは「上昇」と回答した企業が53 .3%となっています。
 正社員給与水準の引き上げの背景は「自社の業績が改善」と回答した企業割合 が27.2%と最も高く、次いで「物価の上昇」(19.4%)、「採用が困難」(18.4%) でした。

◆賃金総額でも「増加」が半数超え
 22年12月の賃金総額を見ると「増加」と回答した企業割合が59.7%、「ほとん ど変わらない」は29.2%、「減少」は11%となっています。
「増加」の割合は21 年実績(49.3%)から10.4ポイント上昇しました。23年見通しを見ると「増加」 と回答した企業割合は60.5%となっています。
 賞与の支給月数を見ると「増加」と回答した企業割合は31.3%、「変わらない 」は48.5%となっています。
「増加」の割合は21年実績(30.5%)から8ポイン ト上昇しています。業種別に見ると倉庫業(43.8%)、宿泊・飲食サービス業( 37.7%)、卸売業(34.9%)などで「増加」の割合が高くなっています。

◆2023年版中小企業白書・小規模企業白書
 別の調査を見てみると日本商工会議所の観測調査では、
(1)中小企業の賃上げ の動きは進みつつあるものの賃上げが難しい企業も一定程度存在する。
(2)賃上 げを促進する原資を確保する上でも、取引適正化などを通じた価格転嫁力の向上 とともに生産性向上に向けた投資を行うことが重要である。
 商工リサーチの「中小企業が直面する経営課題アンケート」では、
(1)物価高 騰により中小企業は収益減少の影響を受けている、
(2)値上げだけでなく経費削 減や業務効率化による収益力向上に取り組んでいる。
 中小企業は賃上げ分を確保するために非常な努力を続けているということでし ょう。

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◆電子帳簿保存法の電子取引データ保存の猶予改正
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◆改正された電子取引データ保存
 令和5年12月31日まで「宥恕(ゆうじょ)措置」が取られていた電子取引デー タ保存に関するルールが、令和5年の税制改正で変更されています。
 令和4年の税制改正で設定された、やむを得ない事情がある場合、税務調査等 で出力書面の提示または提出に応じられれば、令和5年末までの2年間は電子取引 データの紙保存も許されていたのですが、令和5年改正において宥恕措置は年末 で廃止と明言されました。

◆宥恕措置は終わるが猶予措置ができる
 宥恕措置は終わりますが、「猶予措置」が新たに設定されました。
1.保存時に満たすべき要件に従って電子取引データを保存することができなか ったことについて、税務署長が相当の理由があると認める場合(事前申請等は不 要)
2.税務調査等の際に、電子取引データのダウンロードの求め及び電子取引デー タをプリントアウトした書面の提示・提出の求めに応じることができるようにし ている場合
 上記の条件を満たしている場合は、改ざん防止や検索機能などの保存時に満た すべき要件に沿った対応は不要となり、電子データを単に保存しておくことがで きるとしています。
 宥恕措置との違いが分かりにくいようですが、宥恕措置では調査等での「ダウ ンロードの求め」に応じる必要はありませんでした。新たな猶予措置では紙保存 した電子取引データも「ダウンロードの求め」に応じる必要がある、というのが 異なる点です。
 公官庁内のDX・ICT化が急速に進む中、市井との温度差を感じ取ったのか、な し崩し的な改正に感じられます。法的には緩くなった半面、ペーパーレス化や事 務合理化を推進し、宥恕期間終了時からのルールを策定しようとしていた企業は 、改正によって振り出しに戻るケースもありそうです。

◆宥恕措置中の出力書面の取扱い
 宥恕措置中の電子取引データをプリントアウトした書面は、保存期間が満了す るまではそのまま保存しておき、税務調査等の際に提示・提出できるようにして いれば問題はないとされています。



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税理士法人 T&Mソリューション