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事務所だより 令和4年11月号
今年長期債券市場は世界的に四半世紀ぶりの稀にみる下落相場です。
米国の10年物国債利回りは現在4.01%で2020年7月に比べ3.39%も上がっています。
この場合10年国債の評価額が24.3%下落します。日銀が金利0.25%にこだわるのは、仮に日本も同じように金利が上がると日銀が保有する530兆円の国債が128兆円の評価損となり、
日銀の自己資本4.7兆円と含み益14.7兆円では到底まかなえないからです。
=-=-= 目次 -=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-
◆2022年11月の税務
◆受取配当等益金不算入制度の新別表の変更点
◆消費税の基本的な仕組み
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◆2022年11月の税務
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11月10日
●10月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付
11月15日
●所得税の予定納税額の減額申請
11月30日
●所得税の予定納税額の納付(第2期分)
●特別農業所得者の所得税の予定納税額の納付
●9月決算法人の確定申告
<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●3月、6月、9月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの期間短縮に係る確定申告
<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告
<消費税・地方消費税>
●3月決算法人の中間申告
<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の3月、6月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの中間申告
<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の8月、9月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告
(7月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>
○個人事業税の納付(第2期分)(11月中において都道府県の条例で定める日)
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◆受取配当等益金不算入制度の新別表の変更点
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◆今年度から適用の受配の改正
令和2年度の税制改正で令和4年4月1日開始事業年度から適用のものに、受取配当等の益金不算入制度に係る改正があります。この制度では、受取配当に係る株式等を、
(1)完全子法人株式等(100%保有、100%益金不算入)、
(2)関連法人株式等(3分の1超100%未満保有、負債利子控除後100%益金不算入)、
(3)その他の株式等(5%超3分の1以下保有、50%益金不算入)、
(4)非支配目的株式等(5%以下保有、20%益金不算入)に区分し、その区分毎に益金不算入割合を乗じて益金不算入額を算出します。
◆判定が単数から複数へ
改正点の一つは、上記(2)(3)(4)の区分の判定が「個社で判定」から、(1)と同様に「完全支配関係がある法人グループ全体で判定」に変わったことです。
(3)その他の株式等と(4)非支配目的株式等とは、判定基準の変更で、より保有割合の高い区分に変更となり、益金不算入割合が上がることがあります。
◆負債利子控除額の計算方法の改正
改正点のもう一つは、「負債利子控除額の計算」の見直しが行われていることです。負債利子控除は、関連法人株式等に係る配当等の益金不算入額の計算だけに使うものですが、ビックリするほどの簡便計算方式になっています。
◆原則は超簡便に4%控除
原則方式と特例方式があり、まず、原則方式は、関連法人株式等に係る配当等の額の4%です。これに対して、特例方式は、その事業年度の支払利子等の合計額の10%相当額です。原則方式と特例方式との小さい低い方の金額が控除額となります。
例えば、関連法人株式の配当額が1000、その適用事業年度の支払利子が200だったら、原則は、負債利子控除額40(=1000×4%)で、特例は20(=200×10%)となるため、負債利子控除額は20となります。
◆申告の要件等
この原則と特例は「できる」規定ではないので、また、この規定は当初申告での記載の限度等の制限もないので、確定申告書だけでなく、修正申告書又は更正請求書でも新たに記載することができますが、計算明細の添付は要件になっているので申告書の別表記載が必要です。
なお、この改正を反映して、令和4年4月1日開始事業年度以後適用用の別表八(一)付表一が新規に用意されています。
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◆消費税の基本的な仕組み
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◆インボイス制度開始まで1年を切った
消費税のインボイス制度開始は令和5年10月1日の予定です。この「インボイス」とは、正確な適用税率や消費税額等を伝える書類のことで、インボイス制度が始まると、仕入先が免税事業者の場合、今まで認められていた「仕入税額控除」が認められなくなります。
免税事業者の方や経理にタッチしない方は「仕入税額控除? なんのことだ」と思われるかもしれません。まずは消費税の基本的な仕組みを理解しましょう。
◆消費税の内訳
消費税は、商品・製品の販売やサービスの提供などの取引に対して広く課税される税で、消費者が負担し事業者が納付します。
標準税率10%、食品等の軽減税率は8%となっていますが、そのうちの22/78、標準税率で2.2%、軽減税率で1.76%分は「地方消費税」として扱われ、いったん国の出先機関である税務署に納付され、地方消費税部分は統計数値に基づき各都道府県に分配される仕組みです。
◆消費税の負担と納付の流れ
消費税は、生産、流通などの各取引段階で二重三重に税がかかることのないよう、税が累積しない仕組みになっています。
・各取引にかかる消費税の例(標準税率)
製造業:売上50,000(+消費税5,000)
卸売業:仕入50,000(+消費税5,000)
売上70,000(+消費税7,000)
小売業:仕入70,000(+消費税7,000)
売上100,000(+消費税10,000)
消費者:100,000(+消費税10,000)
上記の例示の場合、消費者が負担した消費税10,000円を、小売業者は仕入と売上の差額分の3,000円、卸売業者は差額2,000円を、製造業者は5,000円を納付する仕組みになっています。
先に述べた通り、インボイス制度が始まると、免税事業者から仕入れている場合「仕入先に払った消費税」が、差し引けなくなります。例示で言うと、卸売業者が免税事業者だった場合、小売業者は10,000円消費税を納めることになるわけです。
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この場合10年国債の評価額が24.3%下落します。日銀が金利0.25%にこだわるのは、仮に日本も同じように金利が上がると日銀が保有する530兆円の国債が128兆円の評価損となり、
日銀の自己資本4.7兆円と含み益14.7兆円では到底まかなえないからです。
=-=-= 目次 -=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-
◆2022年11月の税務
◆受取配当等益金不算入制度の新別表の変更点
◆消費税の基本的な仕組み
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◆2022年11月の税務
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11月10日
●10月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付
11月15日
●所得税の予定納税額の減額申請
11月30日
●所得税の予定納税額の納付(第2期分)
●特別農業所得者の所得税の予定納税額の納付
●9月決算法人の確定申告
<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●3月、6月、9月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの期間短縮に係る確定申告
<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告
<消費税・地方消費税>
●3月決算法人の中間申告
<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の3月、6月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの中間申告
<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の8月、9月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告
(7月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>
○個人事業税の納付(第2期分)(11月中において都道府県の条例で定める日)
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◆受取配当等益金不算入制度の新別表の変更点
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◆今年度から適用の受配の改正
令和2年度の税制改正で令和4年4月1日開始事業年度から適用のものに、受取配当等の益金不算入制度に係る改正があります。この制度では、受取配当に係る株式等を、
(1)完全子法人株式等(100%保有、100%益金不算入)、
(2)関連法人株式等(3分の1超100%未満保有、負債利子控除後100%益金不算入)、
(3)その他の株式等(5%超3分の1以下保有、50%益金不算入)、
(4)非支配目的株式等(5%以下保有、20%益金不算入)に区分し、その区分毎に益金不算入割合を乗じて益金不算入額を算出します。
◆判定が単数から複数へ
改正点の一つは、上記(2)(3)(4)の区分の判定が「個社で判定」から、(1)と同様に「完全支配関係がある法人グループ全体で判定」に変わったことです。
(3)その他の株式等と(4)非支配目的株式等とは、判定基準の変更で、より保有割合の高い区分に変更となり、益金不算入割合が上がることがあります。
◆負債利子控除額の計算方法の改正
改正点のもう一つは、「負債利子控除額の計算」の見直しが行われていることです。負債利子控除は、関連法人株式等に係る配当等の益金不算入額の計算だけに使うものですが、ビックリするほどの簡便計算方式になっています。
◆原則は超簡便に4%控除
原則方式と特例方式があり、まず、原則方式は、関連法人株式等に係る配当等の額の4%です。これに対して、特例方式は、その事業年度の支払利子等の合計額の10%相当額です。原則方式と特例方式との小さい低い方の金額が控除額となります。
例えば、関連法人株式の配当額が1000、その適用事業年度の支払利子が200だったら、原則は、負債利子控除額40(=1000×4%)で、特例は20(=200×10%)となるため、負債利子控除額は20となります。
◆申告の要件等
この原則と特例は「できる」規定ではないので、また、この規定は当初申告での記載の限度等の制限もないので、確定申告書だけでなく、修正申告書又は更正請求書でも新たに記載することができますが、計算明細の添付は要件になっているので申告書の別表記載が必要です。
なお、この改正を反映して、令和4年4月1日開始事業年度以後適用用の別表八(一)付表一が新規に用意されています。
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◆消費税の基本的な仕組み
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◆インボイス制度開始まで1年を切った
消費税のインボイス制度開始は令和5年10月1日の予定です。この「インボイス」とは、正確な適用税率や消費税額等を伝える書類のことで、インボイス制度が始まると、仕入先が免税事業者の場合、今まで認められていた「仕入税額控除」が認められなくなります。
免税事業者の方や経理にタッチしない方は「仕入税額控除? なんのことだ」と思われるかもしれません。まずは消費税の基本的な仕組みを理解しましょう。
◆消費税の内訳
消費税は、商品・製品の販売やサービスの提供などの取引に対して広く課税される税で、消費者が負担し事業者が納付します。
標準税率10%、食品等の軽減税率は8%となっていますが、そのうちの22/78、標準税率で2.2%、軽減税率で1.76%分は「地方消費税」として扱われ、いったん国の出先機関である税務署に納付され、地方消費税部分は統計数値に基づき各都道府県に分配される仕組みです。
◆消費税の負担と納付の流れ
消費税は、生産、流通などの各取引段階で二重三重に税がかかることのないよう、税が累積しない仕組みになっています。
・各取引にかかる消費税の例(標準税率)
製造業:売上50,000(+消費税5,000)
卸売業:仕入50,000(+消費税5,000)
売上70,000(+消費税7,000)
小売業:仕入70,000(+消費税7,000)
売上100,000(+消費税10,000)
消費者:100,000(+消費税10,000)
上記の例示の場合、消費者が負担した消費税10,000円を、小売業者は仕入と売上の差額分の3,000円、卸売業者は差額2,000円を、製造業者は5,000円を納付する仕組みになっています。
先に述べた通り、インボイス制度が始まると、免税事業者から仕入れている場合「仕入先に払った消費税」が、差し引けなくなります。例示で言うと、卸売業者が免税事業者だった場合、小売業者は10,000円消費税を納めることになるわけです。
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