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事務所だより 令和4年6月号
東京都が5月25日に公表した「首都直下地震等による東京の被害想定」によると、今後30年以内に南関東地域におけるM7クラスの確率は70%、死者は6148人とのこと。発災後は、避難所に多くの被災者が殺到し、物資の不足やトイレの衛生環境の悪化、プライバシーの確保や避難者間のトラブルなどが予想されます。いつ来てもおかしくない地震、住み慣れた自宅に留まれるように、必要な備えをしっかり行っておきましょう。
=-=-= 目次 -=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-
◆2022年6月の税務
◆営業権(のれん)の価値
◆大企業向け賃上げ促進税制 マルチステークホルダー経営宣言とは
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◆2022年6月の税務
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6月10日
●5月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額・納期の特例を受けている者の住民税の特別徴収税額(前年12月〜当年5月分)の納付
6月15日
●所得税の予定納税額の通知
6月30日
●4月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●1月、4月、7月、10月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●10月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の1月、7月、10月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の3月、4月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(2月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>
○個人の道府県民税及び市町村民税の納付(第1期分)(6月、8月、10月及び1月中(均等割のみを課する場合にあっては6月中)において市町村の条例で定める日)
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◆営業権(のれん)の価値
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昨今、後継者不在に悩む会社が社会問題化する中、M&Aは、会社を未来につなぐ原動力となります。営業権(のれん)の実体は、おぼろで測定や評価には馴染みにくいものですが、取得した事業を開始したその日から収益を生み、事業の価値が顕在化します。
◆営業権(のれん)の3つの概念
営業権(のれん)は、3つの概念で説明されています。
(1)超過収益力説
ある企業が同種の事業を営む他の企業の平均利益より大きな収益を稼得できる場合、その超過収益力の原因となるもの。
(2)差額概念説
企業買収決定金額から時価純資産価額を差し引くことにより求められる差額。
(3)営業機会取得説
繊維工業における織機の登録権利、許可漁業の出漁権、タクシー業のナンバー権など法令の規定、行政官庁の指導等による規制に基づく登録、認可、許可、割当て等の権利取得のために支出する費用。
◆税法の資産調整勘定は、差額概念説
法人税法では、事業やその主要な資産、負債が一体として移転する場合に、非適格合併等により交付した対価の額と、移転を受けた資産、負債の時価純資産価額との差額を、資産調整勘定又は負債調整勘定として表示します。これは上記の差額概念説に基づくものと言えます。
◆売買交渉時の評価は見積価格
相手先から買収する価格は、資産、負債を時価評価するほか、買収後、一定期間の営業利益や将来収益の現在価値(DCF法)などで算定されることがあります。買収側は将来の期待収益にリスクを加味して交渉に臨み、少しでも高く売りたい売却側との交渉で決まった買収価格は、将来収益の見積りであることに変わりはなく、買収後の実際の収益とは異なるものとなります。
◆買収した事業の本当の価値は?
一方、買収した事業は、稼働したその日から収益を生み始めます。承継した販売先や仕入先との契約関係、移籍した社員のスキルや経験、長年かけて築きあげた取引先との信頼関係、業務処理フロー、情報共有ツールなどの一つ一つが収益の源泉となります。実際のところ買収した事業の価値は、収益を伸ばそうとする社員の動機付けや、既存事業とのシナジー効果を発揮させる経営者の手腕によって大きく影響を受け、本当の価値はそこで決まると言えそうです。
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◆大企業向け賃上げ促進税制 マルチステークホルダー経営宣言とは
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◆令和4年度税制改正の賃上げ促進税制
継続雇用者の給与総額を一定割合以上増加させた企業に対して、雇用者全体の給与総額の対前年度増加額の最大30%(中小企業については最大40%)を税額控除できる賃上げ促進税制ですが、一定規模以上の大企業に対しては「マルチステークホルダーに配慮した経営への取り組みを宣言していること」が要件になりました。
資本金10億円以上かつ、従業員数1,000人以上の大企業が賃上げ促進税制を利用したい場合は自社のウェブサイトに宣言内容を公表したことを経済産業大臣に届け出なければなりません。
◆マルチステークホルダー経営宣言とは
「マルチステークホルダー(・プロセス)」とは、従業員や取引先、消費者や関係会社等、企業活動をするうえで影響を受ける利害関係者である「ステークホルダー」が持続可能な発展を目指して協働して課題解決にあたる合意形成などの意思疎通を図ることを言います。
マルチステークホルダー経営宣言を要件にしたということは、「取引先等への配慮もしながらこの賃上げ促進税制を利用してください」、言い換えれば「意思決定の社会的正当性の確保もしてください」ということなのでしょう。
◆日本に古くからあったCSR的概念
近年、CSR(企業の社会的責任)やSDGs(持続可能な開発目標)や、今回取り上げたマルチステークホルダー経営宣言等、企業経営が社会的責任についてどういった影響をもたらし、どのように反映させてゆくのかを明文化する動きが強くなっています。
旧来、日本には近江商人の経営哲学である「三方よし」、「売り手によし、買い手によし、世間によしであればよい商売といえる」という概念があります。これを詳細に詰めてゆくのがマルチステークホルダー等の、最近流行の明文化と考えても差し支えないでしょう。
商いと社会には切っても切れない縁があり、どんな規模や業種の企業でも、ステークホルダーと協働している面があるはずです。自社の企業活動を、ステークホルダーへの影響等の視点から見てみると、何か発見があるかもしれません。
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◆2022年6月の税務
◆営業権(のれん)の価値
◆大企業向け賃上げ促進税制 マルチステークホルダー経営宣言とは
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◆2022年6月の税務
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6月10日
●5月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額・納期の特例を受けている者の住民税の特別徴収税額(前年12月〜当年5月分)の納付
6月15日
●所得税の予定納税額の通知
6月30日
●4月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●1月、4月、7月、10月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●10月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の1月、7月、10月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の3月、4月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(2月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>
○個人の道府県民税及び市町村民税の納付(第1期分)(6月、8月、10月及び1月中(均等割のみを課する場合にあっては6月中)において市町村の条例で定める日)
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◆営業権(のれん)の価値
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昨今、後継者不在に悩む会社が社会問題化する中、M&Aは、会社を未来につなぐ原動力となります。営業権(のれん)の実体は、おぼろで測定や評価には馴染みにくいものですが、取得した事業を開始したその日から収益を生み、事業の価値が顕在化します。
◆営業権(のれん)の3つの概念
営業権(のれん)は、3つの概念で説明されています。
(1)超過収益力説
ある企業が同種の事業を営む他の企業の平均利益より大きな収益を稼得できる場合、その超過収益力の原因となるもの。
(2)差額概念説
企業買収決定金額から時価純資産価額を差し引くことにより求められる差額。
(3)営業機会取得説
繊維工業における織機の登録権利、許可漁業の出漁権、タクシー業のナンバー権など法令の規定、行政官庁の指導等による規制に基づく登録、認可、許可、割当て等の権利取得のために支出する費用。
◆税法の資産調整勘定は、差額概念説
法人税法では、事業やその主要な資産、負債が一体として移転する場合に、非適格合併等により交付した対価の額と、移転を受けた資産、負債の時価純資産価額との差額を、資産調整勘定又は負債調整勘定として表示します。これは上記の差額概念説に基づくものと言えます。
◆売買交渉時の評価は見積価格
相手先から買収する価格は、資産、負債を時価評価するほか、買収後、一定期間の営業利益や将来収益の現在価値(DCF法)などで算定されることがあります。買収側は将来の期待収益にリスクを加味して交渉に臨み、少しでも高く売りたい売却側との交渉で決まった買収価格は、将来収益の見積りであることに変わりはなく、買収後の実際の収益とは異なるものとなります。
◆買収した事業の本当の価値は?
一方、買収した事業は、稼働したその日から収益を生み始めます。承継した販売先や仕入先との契約関係、移籍した社員のスキルや経験、長年かけて築きあげた取引先との信頼関係、業務処理フロー、情報共有ツールなどの一つ一つが収益の源泉となります。実際のところ買収した事業の価値は、収益を伸ばそうとする社員の動機付けや、既存事業とのシナジー効果を発揮させる経営者の手腕によって大きく影響を受け、本当の価値はそこで決まると言えそうです。
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◆大企業向け賃上げ促進税制 マルチステークホルダー経営宣言とは
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◆令和4年度税制改正の賃上げ促進税制
継続雇用者の給与総額を一定割合以上増加させた企業に対して、雇用者全体の給与総額の対前年度増加額の最大30%(中小企業については最大40%)を税額控除できる賃上げ促進税制ですが、一定規模以上の大企業に対しては「マルチステークホルダーに配慮した経営への取り組みを宣言していること」が要件になりました。
資本金10億円以上かつ、従業員数1,000人以上の大企業が賃上げ促進税制を利用したい場合は自社のウェブサイトに宣言内容を公表したことを経済産業大臣に届け出なければなりません。
◆マルチステークホルダー経営宣言とは
「マルチステークホルダー(・プロセス)」とは、従業員や取引先、消費者や関係会社等、企業活動をするうえで影響を受ける利害関係者である「ステークホルダー」が持続可能な発展を目指して協働して課題解決にあたる合意形成などの意思疎通を図ることを言います。
マルチステークホルダー経営宣言を要件にしたということは、「取引先等への配慮もしながらこの賃上げ促進税制を利用してください」、言い換えれば「意思決定の社会的正当性の確保もしてください」ということなのでしょう。
◆日本に古くからあったCSR的概念
近年、CSR(企業の社会的責任)やSDGs(持続可能な開発目標)や、今回取り上げたマルチステークホルダー経営宣言等、企業経営が社会的責任についてどういった影響をもたらし、どのように反映させてゆくのかを明文化する動きが強くなっています。
旧来、日本には近江商人の経営哲学である「三方よし」、「売り手によし、買い手によし、世間によしであればよい商売といえる」という概念があります。これを詳細に詰めてゆくのがマルチステークホルダー等の、最近流行の明文化と考えても差し支えないでしょう。
商いと社会には切っても切れない縁があり、どんな規模や業種の企業でも、ステークホルダーと協働している面があるはずです。自社の企業活動を、ステークホルダーへの影響等の視点から見てみると、何か発見があるかもしれません。
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