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事務所だより 令和3年10月号

中国の大規模停電やイギリスのガソリン不足等、世界的にエネルギー資源の奪い 合いでインフレ圧力が高まっています。
わが国でもウッドショックによる建築価 格の上昇や異常気象の影響による葉物野菜などの値上がりにより8月の企業物価 指数は前年同月比5.5%上昇しました。
今後、コロナ感染の再拡大、新興国での ワクチン接種の遅れによる物流寸断や電子部品の生産や鉱山資源の供給の遅れ等 で世界経済の減速懸念も高まりそうです。

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◆2021年10月の税務
◆消費税 インボイス制度いよいよ始動
◆従業員の配偶者に対する健診費用の会社負担

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◆2021年10月の税務
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10月12日
●9月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付

10月15日
●特別農業所得者への予定納税基準額等の通知

11月1日
●8月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人 事業所税)・法人住民税>
●2月、5月、8月、11月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・ 地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税 >
●2月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住 民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の2月、5月、11月決算法人の3月ごとの中間申告< 消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の7月、8月決算法人を除く法人・個人事業者の1 月ごとの中間申告
(6月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>

○個人の道府県民税及び市町村民税の納付(第3期分)(10月中において市町村 の条例で定める日)


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◆消費税 インボイス制度いよいよ始動
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◆インボイス制度とは
 正式には「適格請求書等保存方式」といいます。令和5年10月から導入されま す。
導入はまだ先の話ですが、この適格請求書等を発行できる事業者すなわち「 適格請求書発行事業者」(以下登録事業者という)の届出と受付が今年の10月か ら始まります。インボイス制度を理解するにはまず消費税の基本的仕組みを理解 してください。

◆消費税の基本
 消費税の負担者はその名の通り消費者です。しかし消費税の納税者は消費者で はなく消費者から消費税を預かった事業者です。事業者も事業活動において仕入 れや諸経費等消費者と同様消費税を負担します。
そこで消費者から預かった消費 税と自分が負担した消費税の差額を国に納付します。これが消費税です。

◆今はどうなっているのか?
 現在は、事業者は租税公課や保険料や給与や住宅の家賃等法律で非課税とされ ている取引以外は、全て消費税が課税されているものとして差額を計算して消費 税を国に納めています。しかし小規模の事業者も全てこの計算をすると大変煩わ しいだろうということで、売上が1,000万円以下の事業者に関しては納税を免除 しています。

◆インボイス制度導入後は
 インボイス制度が導入されると、事業者は消費者から預かった消費税から、登 録事業者が発行した請求書や領収書に記載された消費税だけを差し引いて差額を 国に納めます。
 もちろん自分も登録事業者でないと、事業者間での取引は難しくなります。
 普段は消費者しか相手にしていない小売店や飲食店でも、大口の会社からの注 文や忘年会などで、「適格請求書等」(領収書)の発行を求められた時、登録事 業者でないと、発行できません。そして登録事業者になるということは消費税の 納税義務者になるということですから、売上1,000万円以下の現在消費税の納税 が免除されている事業者も取引形態によっては、登録事業者になる必要が出てき ます。


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◆従業員の配偶者に対する健診費用の会社負担
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◆従業員に対する健康診断は会社の義務
 労働安全衛生法66条により、「事業者は、労働者に対し医師による健康診断を 行わなければならず、労働者は、事業者が行う健康診断を受けなければならない 」とされています。こうした健康診断の受診費用は、通常必要と認められる範囲 を超えるものを除き、会社の福利厚生費として扱われます。
 なお、労働者ではない役員は、厳密に言うと労働安全衛生法の対象者ではあり ません。しかしながら、健康管理義務がないわけではありませんので、法律上で の義務がなくても健康診断を受診してもらうことで、実務上のリスクを下げるこ とができるため、同様に会社の福利厚生費となります。
 ただし、受診費用の負担対象者が役員や特定の地位にある者だけとされている 場合には、その者に対しての給与として課税されます。この場合には、経済的利 益に係る給与として源泉徴収を行う必要が生じます。さらに、役員の場合、定期 同額給与に該当しない給与(賞与)として法人税の課税対象として扱われること にもなります。

◆役員・使用人の配偶者の健診費用会社負担
 会社が役員または使用人の配偶者分の健診費用を負担している場合には、その 役員または使用人の給与(経済的利益の供与)として扱われます。課税扱いとな る理由は、会社は、法律上、配偶者の健康診断の実施義務を負っているわけでは ないためです。
 また、一部大企業では配偶者分も会社負担となっているところもあるようです が、まだまだ社会一般的に行われているとは認められていないため、経済的利益 の供与=給与扱いとなります。給与扱いとなるわけですから、それに係る所得税 の源泉徴収を忘れないようにしなければなりません。

◆健診費用の消費税での課税仕入れ不課税
 会社の福利厚生費として扱われる健診費用は、自由診療に該当するため、消費 税が課税されています。消費税の計算においては課税仕入れとして扱います。  一方、給与扱いとなる健診負担分(配偶者や特定の地位にある者だけへの負担 )にも、消費税は課されています。しかしながら勘定科目上は給与扱いですので 、消費税の計算においては給与=不課税となります。領収書に消費税額の記載が あるからと言って、課税仕入れとして扱わないように注意が必要です。




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