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事務所だより 令和3年6月号

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う休園や客数減で、東京ディズニーリゾート などを運営するオリエンタルランドが1996年の上場以来初となる542億円の最終 赤字となりました。
昨年7月時点では「大前提として雇用を守りたい」としてい ましたが、満45歳以上かつ勤続10年以上の正社員と嘱託社員を対象に早期退職を 募集して、応募した社員は今年3月31日付で退職したそうです。「夢の国」もつ いにリストラの嵐の中に。

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◆2021年6月の税務
◆控除可能期間が13年に延長 令和3年度住宅ローン控除の改正
◆日本経済の救世主になれるかM&A促進税制

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◆2021年6月の税務
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6月10日
●5月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額・納期の特例を受けている者の住民 税の特別徴収税額(前年12月〜当年5月分)の納付

6月15日
●所得税の予定納税額の通知

6月30日
●4月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人 事業所税)・法人住民税>
●1月、4月、7月、10月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・ 地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税 >
●10月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住 民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の1月、7月、10月決算法人の3月ごとの中間申告< 消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の3月、4月決算法人を除く法人・個人事業者の1 月ごとの中間申告(2月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>

○個人の道府県民税及び市町村民税の納付(第1期分)(6月、8月、10月及び1 月中(均等割のみを課する場合にあっては6月中)において市町村の条例で定め る日)

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◆控除可能期間が13年に延長 令和3年度住宅ローン控除の改正
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◆対コロナの限定延長が全体に適用へ
 令和3年税制改正で、住宅ローン控除が通常10年間適用のところ、13年間適用 になりました。
この適用を受けるには注文住宅の場合、令和2年10月〜3年9月に 契約したもの、分譲住宅等の場合、令和2年12月〜3年11月に契約したもので、4 年12月までに入居した住宅が対象です。
 今回の改正では令和2年度には要件としてあった「新型コロナウイルス感染症 の影響」は含まれていないので、契約・入居の期間と住宅ローン控除の要件を満 たしていれば、消費税率上昇に対する経済対策として設けられた特例と同様、13 年間の控除が受けられます。

◆新設された40平方メートルのルール
 さらに従来「50平方メートル以上」だった床面積の要件が、「40平方メートル 以上」に拡充されました。ただし、40平方メートル以上50平方メートル未満の住 宅については、合計所得金額が1,000万円以下の方のみ適用となります。
 この新ルールでちょっと注意しなければならないのが、「床面積」の扱いです 。床面積の算出方法には壁芯面積(壁の中心線から測定)と内法面積(壁の内側 から測定)の2種類があります。
分譲マンション等の場合、インターネットや販 売チラシには壁芯面積の表示がされていることが多いため、広告では40平方メー トルを超えているのに、住宅ローン控除適用要件である床面積を登記簿上記載の 内法面積で見ると40平方メートルを下回る可能性もあります。内法面積が40平方 メートルを超えないと住宅ローン控除が適用とはなりませんのでご注意ください 。

◆控除率1%が問題視されている?
 今回の改正では、控除割合1%は従来と変わりませんでしたが、令和元年に出 された会計検査院の指摘事項の中に「借入残高の1%を税額控除するのははたし て妥当なのか。
金利と比較すると恩恵を受けすぎている人が多いのではないか」 といった指摘もあり、今後も低金利が続くようであれば控除割合の低下による制 限が出てくる可能性もあります。今後の動きに注目です。

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◆日本経済の救世主になれるかM&A促進税制
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◆政府がM&Aに熱い視線
 経済産業省は、1年ほど前に公開した「中小M&Aガイドライン」でM&Aの 後押しをする姿勢を鮮明にしています。
 「中小M&Aガイドライン」によると、2025年までに、平均引退年齢の70歳を 超える中小企業の経営者が約245万人おり、うち半数の約127万人が後継者未定と のことです。
 廃業による経営資源の散逸が積み重なることにより、優良な経営資源が活用さ れないまま喪失されてしまうことは、日本経済の発展にとって大きな損失との認 識で、M&Aの普及がその対策として有効な切り札であり、生産性の向上にも資 するとしています。そして、10年で60万、年平均10万のM&A契約を成就すると の計画を立てています。

◆計画実現のために役割喚起
 そのため、売り手・買い手を繋ぐM&A専門業者の活性化を期待するとともに 、商工団体、金融機関、弁護士・公認会計士・税理士といった各分野の専門家に 向けても、それぞれの分野別にM&A支援として期待される役割や留意点などを 提示しています。
 M&A業界は、30年ほどの歴史の新興産業で、現在の専門業者数は300社程度 とのことです。日税連もホームページでM&Aのマッチングをすすめています。


◆切り札としてのM&A促進税制
 令和3年度税制改正の中に、M&A促進税制が二つあります。
1.株式交付M&Aでの譲渡益繰延制度
2.M&A投資リスクに備えるための株式取得価額の70%損金算入制度
 株式交付の場合の譲渡益繰延制度創設は、2019年中に経産省が改正要望事項と してあげていたものですが、会社法の株式交付制度創設の施行予定が2021年3月1 日となっていたので、1年遅れでの立法となりました。これは、売り手側への優 遇税制です。
 もう一つの優遇税制は、買い手側に対するものです。
 M&A対価の70%損金算入の新制度の要件は次の内容です。
・青色申告中小企業者が対象
・経営力向上計画による取得
・株式の取得価額10億円以下
・投資損失準備金の計上
・6〜10年経過時準備金の取崩し
・中小経営強化法改正が前提
・令和6年3月31日まで適用



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